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小説執筆日記、サイト運営日誌、雑記その他
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 仕事疲れの頭でニュースを見て、一瞬代表引退と現役引退との差が分からなかった管理人です、こんにちは。今日は彼の引退表明文を読んでいてつらつら考えたことを記しておこうと思います。

 スポーツ選手の最盛期は肉体の絶頂と連動することが多いわけですが、はたして文筆はどうなのか。どんな作家にも処女作と遺作が存在する。しかし最高傑作、これ以上はないという地点に達したと自ら悟りつつ、それでも書き続ける作家など存在するのだろうか。
 少なくとも私は、最高の地点は永遠に訪れないものだと思っている。もちろんそれは常に目指されるのだが、そこに達してなお書く意味があるとは思われない。もの書きのモチベーションは、「最高の作品(一文)を書きたい」と言う欲求によってしか保たれないはずだ。これは周囲の評価云々ではなく、あくまでも書き手自身の問題である。そしてここに言う「最高」とは、今までやってきた中では、などという条件付きの最高ではあり得ない。
 ただ、私個人のことに限って言えば、文章に携わってきた人間として、作品の「最高」とは別に、一つの絶頂期を通り過ぎたとの思いが強くある。それは、書くことの純粋な楽しさに没頭できた時期である。かつては私にも、とにかく書いていれば楽しい、ストーリーを考えていれば幸せになれる、そんな思い出すだけでも気恥ずかしい少女時代があった。もちろん当時の文章はどれもこれも未熟でひどいものばかりだが、少女の私は確かにそれに満足していた。書くこと自体に満ち足りていた。
 いまは違う。趣味でやっていることも含めて、私は自分の書くいかなる文章にも満足できない。書くことがまったく楽しくないかと問われれば、答えはNOだが、楽しいかと問われても答えはNOである。どちらに対してもYESと答えられない心境がそのまま、書くことへの私の思いなのだ。現在の私は、どちらかと言えば苛つきながら書き続けている。あるいは絶望すれすれを低空飛行しながら書き続けている。
 けれど、いつか、最高は訪れなくても限界は来るかも知れない。
 そんなとき、ふと、懐かしい少女時代に回帰したくなるのかも知れない。書くことの幸福に満たされた、彼の言葉を借りれば「瑞々しい」絶頂期に、無性に帰りたくなるのかも知れない。それは同時に、いま目指していることからの引退になるに違いない。
 もちろん私は、まだまだ彼ほどにはがんばれていないから、そういう事態が来るのだとしても当分先になるだろうけれども……。
(NOTE:No.169)
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About writer
Name:Misumi Eiri(3A)
Home:SERANGOL
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