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小説執筆日記、サイト運営日誌、雑記その他
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 謎は小説の牽引力となるという。確かにそうだろう。読者になぜ? なぜそうなるのか(そうなったのか)と思わせながらラストまで引っ張っていってくれるのは、面白味のある良質な小説に違いない。しかし、書き手の立場に立ったとき、その謎ははたして謎であるだろうか。読者と作者とは同じ謎を謎として共有できるだろうか。それは偏に、謎が何であるか、に懸かっているだろう。

 謎とは何か。
 小説を書くことは庭造りに似ている。私は限られた空間の中に庭木を植えて庭を造り、水をやって庭を維持してゆく。しかし庭のどこにも硝子の蓋はされていないから、そこには時に鳥や蝶が飛来することもあるだろう。ふらりと飛び来たった一匹の蝶は、庭の内側にありながら庭の内部に属さない。かといって庭の中を飛んでいるうちは外部のものでもない。蝶とは何だろうか。庭の秩序を乱すものではなく、自然にやって来てまた飛び去ってゆく何ものか、庭を見る者の視線を奪うほどの存在になりながら、また知らぬ間に飛び去ってゆく何ものか。なぜこの庭に来たかと言うことは、私にとっては大きな問題ではない。庭を造る私は蝶を作ることはできない。蝶の来る庭を造ることが可能なだけである。またそうでなくては庭造りの意味はない。決して所有しきることのない蝶のために庭はある。そこにあることは確かだが、決して何者か分かることのないもの、それは永遠の謎である。捕まえようとした途端に逃げ去る蝶を庭は求めている。しかしその蝶が標本になることを、私の庭は決して求めていない。
(NOTE:No.205)
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About writer
Name:Misumi Eiri(3A)
Home:SERANGOL
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